2016年、第15回「女による女のためのR―18文学賞」で大賞を受賞。同作を含むデビュー作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』を刊行。町田そのこさんデビュー作「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」を読みました。
2021年に本屋大賞を受賞した「52ヘルツのクジラたち」に興味を持ったのですが、図書館では大人気の予約数。すぐに借りられないと思い、デビュー作を読んでみたくなったのがきっかけです。
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[rakuten id=”book:20302034″ kw=”夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫) 町田 そのこ”]
私が読んだのは単行本でした。今年出た文庫本の装丁もすてきですね。
作品紹介
世界が変わるほどの恋。すべてが反転する秘密。大胆な仕掛けに満ちた、選考委員激賞のデビュー作!抜けてしまった歯が思い起こさせるのは、一生に一度の恋。もう共には生きられない、あの人のことー。第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作をはじめ、どんな場所でも必死に泳いでいこうとする5匹の魚たちをとびきり鮮やかな仕掛けで描いた連作集。
掲載作
- カメルーンの青い魚
- 夜空に泳ぐチョコレートグラミー
- 波間に浮かぶイエロー
- 溺れるスイミー
- 海になる
作者
町田そのこ
1980年生まれ。2016年「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。2021年「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞の大賞を受賞。
感想
2021年7月読了 3日間およそ6時間
253ページ。文字の大きさや行間等に、読みづらさはない。
登場人物や場所がリンクしながら繋がっていく連作短編集で、長らく長編小説から離れていた私にとって、とても読みやすかったです。
団子をかじったら差し歯が取れて、前歯かなくなったことを連れと笑う場面から始まる。なんのこっちゃ、と突っ込みつつ、目は文字を追うことを止められない。
カメルーンの青い魚で表現された世界観と人物が、他4編の物語にも繋がっています。その、ちょっとずつ繋がっているところが垣間見えるあたりも、面白みの一つと感じました。どこに関連があるのだろうと読んでいった「溺れるスイミー」であっても、けんか相手だったか~と、のけぞりたい気持ちになったり。しかもけっこう愛すべきキャラクターであったり。
「波間に浮かぶイエロー」は、他の読者さんも良かった!と書いていることが多いです。私も例にもれず、良かった!きっといろいろ、みんなうまくまわる。
「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」からの「海になる」も良いです。 辛い中を生きている子供、辛い時期があった大人。大人はつらさを乗り越えて、引き取った子供を抱きしめたことでしょう。海のように。
感受性のつよい繊細さんには、ちょっと辛いかも?
町田そのこさんは、「52ヘルツのクジラたち」で取り上げられ、気になっていました。重い話だというのはなんとなく情報にあって、口コミを見る感じ「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」のほうが少し軽いかな、と想像していました。
まだ「52ヘルツのクジラたち」は読めていないのですが、「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」も充分重い話がありました。
私は、よく本を読んでいた20代~30代の頃、辛いドラマや重い本を読むと、1日寝込むくらい疲れてしまうことがありました。今は大丈夫です。
ひょっとしたら共感力が高い方には辛いお話かもしれません。
町田そのこさんの今後のご活躍に期待大
読むのが辛い話かもしれない、とは思いますが、そこを経てたどり着くラストはよくできています。読みやすいきれいな文章。仕掛けいっぱい。辛い描写もあるけれど、熱帯魚と重ねているからか、読後は柔らかい気持ちに。
当然、他の本も読んでみたくなりました。
紙面イメージ画像
単行本の文面を、著作権切れ文章を使って再現してみました。写っている定規を実際の大きさになるよう拡大縮小していただくと、実際の見た目に近づきます。
紙の色の再現は難しかったです。精進します。
文面はすっきりしていて読みやすかったです。
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